LTE技術が着実に普及しています。現在は海外どこにいってもLTEが使えます。海外の通信キャリアによって利用できるLTEバンドは異なりますが、各バンドをサポートするスマートフォンを持っていれば問題なく使える状況にあります。エリクソン社の調査によると現在、世界の携帯契約数は80億件でLTE契約数はその中の約30億件です。2023年には携帯の契約数が91億件に伸び、その中の50億件がLTE契約です。私の場合は、国内ではMVNOのsim、アジアではインドネシアのTelkomselのsimPATI、欧州ではorangeのmobicarte-simを利用しています。simPATIはアジア圏で、mobicarte-simは欧州・北米での安価なデータローミングを提供しています。
さて、LTE技術は3GPPの規格ですが、この規格で無線帯域幅を200kHzに狭めて接続数を増やしIoTに利用するNB-IoT規格や、Unlicensed band(例えば5GHz)での利用を目的としたMulteFire仕様が出てきています。LTEという確立した技術を新しい周波数、帯域幅に利用することにより開発バリアが低く、市場の急速な立ち上がりが期待されます。
MulteFire仕様はMulteFire Allianceが3GPPのリリース13をベースに第一版が2017年2月に作成されています。3GPP規格ではPLMN(Public Land Mobile Network)に認証、許可、課金のAAA機能がありますが、MulteFireではPSP(Participating Service Provider)が持ち、また、ネットワークをNHN(Neutral Home Network)と呼んでいます。3GPPの規格をプライベートネットワーク等で利用する上での規格の読み替えを行い対応しています。
MulteFire仕様が3GPPのリリース13に追加したのは、端末(UE)とPSP間の相互認証にIETFのEAP(Extended Authentication Protocol)の利用を推奨していることと、オンラインでサービス登録ができるOSU(Online Signup)サービスを定義していることです。MulteFireの関連仕様はMulteFire Allianceのホームページからダウンロードできます。
2020年には5Gがサービスが開始される見込みですが、当面はLTE技術を中心とした各種ネットワーク構築が進むと考えられます。
藤井伸朗:NTT研究所、NTTグループ会社において通信網オペレーションシステム等の研究開発、国際標準化に従事。2014.7よりサイバー創研に勤務。電子情報通信学会フェロー。