本調査研究は、下記の背景、目的で行われたものです。(報告書からの引用)
報告書の全体と要約を特許庁のホームページからご覧いただけます。
[全体版(PDF:3,953KB)/要約版(PDF:665KB)]
近年の IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の普及は標準必須特許のラ イセンス交渉に大きな変化をもたらしている。通信に関する標準必須特許は、製品当 たりの権利数の増加等により、権利関係の全てを把握することが難しい状況になって いる。また、通信業界の企業同士で行われてきた交渉が、通信業界と異業種との間で も行われるようになったことで、従前のクロスライセンス等による解決が困難になっ ている。他方、近年、ライセンス料や高額な和解金を得ることを目的として、特許権の 権利行使をビジネスとして行う者(いわゆるパテント・トロール)による活動の影響 を懸念する声が出ている。
これを受け、
(1)パテント・トロールの実態及び制度上での対応の可能性について検討を行うとと もに、
(2)標準必須特許の適切なライセンス交渉の進め方や合理的なロイヤルティの 算定方法についての基本的な考え方を整理して標準必須特許のライセンス交渉に関す るガイドラインの策定に向けた検討を行うことを目的とする。
サイバー創研では、標準必須特許に関しては、移動体通信の分野での知財的重要性に着目し、ETSI 3GPPの標準必須宣言特許の必須性評価の独自調査結果のサマリを3回にわたり公開してきております。
近年 次世代の移動通信「5G]が脚光を浴び、これを支える「MIMO (multiple-input and multiple-output)技術」とも合わせて、この分野の標準化、それを実現する必須特許の重要性が増してきています。
これらの技術分野は、従来の通信関連の業界だけでなく、超低遅延や多数端末対応など多様な利用形態を支える技術として他の業界からも注目を集めています。
このため、標準必須特許を巡る特許侵害やライセンス交渉など、業界を超えた取り組みが必要との認識も高まっています。
これからの他分野、他業界との協働に際し、「標準化、標準必須特許をどのように向き合って行けば良いか」のご参考になれば幸いです