出版事業
大切な人を失くしたとき一冊目に読みたいグリーフケアの本
内容紹介
グリーフ(Grief)は、大切な人やものを失くしたときにおちいる深い悲しみのことです。そこから喪失悲嘆として、大切な人を失って生じた精神や身体の状態を言うようになりました。
喪失悲嘆は、人によってまちまちで、現われ方も、またそれが治ってくる年数も千差万別です。
悲しみは人それぞれの在り方があり、毎日涙に明け暮れる方がいる一方で、悲しめず涙を流すことすらできなくなる方もいます。
ただ言えるのは、喪失悲嘆に陥るほど、亡くなった人は、自分にとってかけがえのない、そしてそれほどに愛が深い存在だということです。
亡くなって、初めてその存在の大きさを知る。
グリーフの最初の気づきです。
もちろん、その人が自分にとっていかに大切な存在であるかは、生きている頃から分かり過ぎるくらい分かっているはずです。
けれども、その存在が当たり前のようになっていて、自分の生の一部になっている。
日常に紛れて、その存在は空気のようになっていたことを、今さらながら思い知る。
つまり、その存在はあまりにも近すぎて、そしてあまりにも大きすぎて、わたしたちはかえってその存在を見失っているのです。
ですから、その存在が無になったときに、その空虚さによって、失くしたものの存在の大きさを知ることになるのです。
失くしたときの虚しさによって、自分がいかにその存在に寄りかかっていたのか、いかにその存在が編み込まれて自分というものが形成されていたのかを知るのです。
わたし自身もそうでした。
12年前に夫を自死で亡くしましたが、20年近い結婚生活のなかで、夫の存在が自分の一部になるほどに大きくなっていたことに、夫が亡くなって初めて気づきました。
(はじめにより)
目 次
第1章 自死遺族としてのグリーフ体験
第2章 大切なひとを失うということ
喪失という空虚感
喪失するということ
喪失の悲しみ
第3章 自死遺族の葛藤
自責の念
世間からの孤立
第4章 グリーフケアとは
グリーフケアとの出会い
グリーフケアとは何か
グリーフケアがもたらすもの
第5章 喪失による気づき
悲しみの根源性
失ったからこそ気づいたこと
慈悲―悲しみから愛へ
喪失から始まる人間としての在り方
第6章 グリーフと哲学
生死の淡いに立つ
根源的な時間
浮世での生
無常を感じるということ
第7章 さいごに
著者について
戸羽れいこ(とばれいこ)
1961年福岡県生まれ
哲学者
西南学院大学文学部英文学科卒業
早稲田大学社会科学研究科生命倫理学専攻博士後期課程単位取得
日本哲学会会員 日本倫理学会会員
グリーフケアアドバイザー1級
分かち合いの会、傾聴電話などのグリーフケア活動歴10年。哲学研究歴18年。現在、個と普遍をつなぐものとしての快の感情について、ドイツ・フランス哲学や東洋の思想から思索・研究している。
書籍の情報
オンデマンド、Kindle | |
発行 | 2024年3月21日 |
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サイズ | 13 x 0.94 x 18.8 cm |