実績・研究成果データベース
携帯電話サービスの市場では第3世代のサービスからLTE(Long Term Evolution)へのマイグレーションが急速に進展している。LTEサービスは、日本国内ではNTT DOCOMOが2010年12月に商用サービスを開始し、2013年4月には契約数が1200万件を突破している。 一方、2012年4月には、LTEの後継となるLTE-AdvancedがITU-Rで第4世代の技術の一つとして勧告された。今後、LTEとLTE-Advancedは、互換性を保ちながら、より高速・大容量の通信サービスの利用を可能とするものとして、今後の普及が期待されている。 LTEは、W-CDMA⽅式同様に、ETSI(欧州電気通信標準化協会)、ARIB(電波産業会)等の各国の標準化団体により設立された仕様検討プロジェクトである3GPPにて標準化活動が行われており、その仕様検討、規格策定作業と関連して各社より多数の特許が出願されている状況にある。 必要とされる標準化規格に提案、採用されるためには、企業は関連する保有特許を各国の標準化団体に対してFRAND条件を宣言する必要がある。今回の調査対象は、ETSIへ宣言された特許(特許出願含む)の内、LTEあるいはLTE-Advancedに関するものである。 ETSIに対する各企業の宣言特許数はLTEの技術開発に関する「知財力」を示す1つのインデックス(指標)となっていると推測される。ただ、各社の宣言特許数を単純にカウントしただけではLTEの特許力を計ることはできないため、今回の報告では、規格との整合性を第三者の観点で公正に評価した。 本調査はETSIの必須宣⾔特許リストをベースに、パテントファミリ単位にまとめる手法などにより、実質的な宣言特許数(独立した発明数)を抽出した上で、規格整合性に着⽬して各社の必須宣⾔特許を同⼀の基準で評価し、必須特許の保有数を推測した。
3回目の報告では、8カ月で約900件の増加(18%の増加)となり、Apple社などの新規参入が見られた。企業の宣言している必須特許件数の順位ではQualcommが首位を維持しているが、2位以下では順位の入れ替わりが多く見られた。
1.ETSI宣言特許の件数と企業について
実質的な宣言特許数5,919件、宣言企業49社を導出した(前回第2.0版の報告では43社)。
宣言特許は特定企業に集中しているのではなく、多くの企業が比較的均等な件数を宣言しており、企業国籍も米国、欧州、アジアにバランス良く分散している
2.LTE規格との整合性について
5,919件の特許から全体の36%にあたる2,129件(前回報告では1,601件)を抽出し、サンプルによる規格整合性評価を行った結果、約56%の特許がLTE規格と整合した必須特許であった。その中で更に登録特許のみを対象として規格整合性を比較した結果、LG、NTT DOCOMO、TI、InnovativeSonicが、規格整合率が高くかつ登録特許件数が多い企業であるという結果が得られた。これらの企業は、質の高い特許出願を行っており、厳選した特許をETSIに宣言していると考えられる。
3.企業別必須特許件数
サンプル評価で得られた規格整合率を宣言特許全件数に乗じて推定した必須特許数では、Qualcommが最多で、Huawei、ZTE、Nokia、LG、Samsung、NTT DOCOMO、InterDigital、Ericsson、CATTの順で上位を占めている。
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詳細分析データは、調査した特許1件ずつに、特許の公報番号、判定結果(A、B、Cの別)、判定根拠(規格と対比させた分析の内容) などを記載したものです。
調査機関:2009年9月〜2013年3月
調査機関:2009年9月〜2012年7月
調査機関:2009年9月〜2011年3月
●ETSI必須特許とは
ETSIは、European Telecommunications Standards Institute(欧州電気通信標準化協会)の略。
欧州圏の電気通信における標準仕様を策定するために設立された標準化団体で、欧州委員会(EC)によって公式に認められている。
欧州以外も含めて59か国が参加。官公庁や電気通信事業者、メーカー、研究機関などから構成されている。1988年設立。本部はフランス。
必須特許は、標準規格を実現するうえで必須となる特許。
●LTEとは
LTE (Long Term Evolution)は、2010年頃から日本をはじめ世界各国の通信キャリアでのサービス開始が見込まれている次世代移動通信方式の通信規格であり、標 準化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)にて3GPP Release8として標準化の作業が進められて、2009年3月に初版の仕様がリリースされた。
LTEは、現在、普及している W-CDMA や CDMA2000 といった第3世代移動通信方式(3G)と、将来登場する第4世代移動通信方式(4G)との間の繋ぎの技術と位置づけられ、HSPA(High Speed Packet Access)が3.5Gと呼ばれるのに対し、LTEが4G(LTE-Advanced)に近い技術であることから、第3.9世代移動通信方式 (3.9G)と呼ばれる。わが国で2010年12月に商用サービスが開始されているのを始めとして、国内外で普及が進んでいる。
LTEは、「Long Term Evolution」の名称通り、3Gを「長期的に進化・発展」させることで、スムーズに4Gに移行出来るようにする、いわば橋渡し(中継ぎ)的な役割を期待されている。
プロフィール
特許調査分析部LTE関連ETSI必須宣言特許調査チーム:
次世代携帯電話サービスの普及が進むなかで、LTEに関する標準必須特許に関する関心が高まっています。
そのなかで、サイバー創研の特許調査分析部では、LTEに関連するETSI必須宣言特許調査の専門チームを立ち上げ、本調査を行っています。今後も継続して客観的な立場からの調査を行っていきます。お問い合わせは当社お客様窓口まで。
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